トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある?

2012年より、Toiles de Jouy (トワル・ド・ジュイ)を日本に紹介し、その普及活動を進める中で、多くの皆様が、我々が表現する「本物のトワル・ド・ジュイ」という言葉を耳や目にしたことがあるのではないでしょうか。

「”本物の”トワル・ド・ジュイとは、なんですか?」「トワル・ド・ジュイには、本物とそれ以外のものがあるのですか?」と言った質問を、大変たくさんの方からいただきます。結論から言いますと、「はい、トワル・ド・ジュイには、本物とそうでないものが存在します。」

本日は、その理由を、フランスの歴史と共にご紹介していきたいと思います。

トワル・ド・ジュイそのものの歴史については、別の記事にてご紹介しておりますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。こちらの記事では、そこからもう少し掘り下げ、トワル・ド・ジュイの起源やその名前が付けられた過程、そして、本日に至るまで、誰がトワル・ド・ジュイを守り、製造し続けているかということにフォーカスして、お話をさせていただきたいと思います。

18世紀、ルイ16世とマリー アントワネットがフランスを治世する中、フランスには、それはそれは多くの生地工場が存在しました。当時存在した全ての工場をリストアップすることはできませんが、特に当時有名だった生地工場として、マルセイユ、ナント、そしてジュイ=アン=ジョザスの工場が特に栄えていました。

ルイ16世の肖像 - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ
ルイ16世の肖像
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マリー・アントワネットの肖像 - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ
マリー・アントワネットの肖像

当時は、どの生地工場も時代のファッショントレンドとなるような最新デザインを我先に世に出そうと必死になっており、フランス国内での生地デザインにおける競争はとても激しいものでした。例えば、長い間、フランスでは花柄のデザインがとても人気となっていました。同じ花柄でも、いかに人気のデザインを世に出すことができるか、各生地工場は日々他社との競争心に燃えていました。

ジュイ=アン=ジョザスのオベルカンフの生地工場 画家:ジャン・バティスト・ユエ - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ
ジュイ=アン=ジョザスのオベルカンフの生地工場 画家:ジャン・バティスト・ユエ

その頃、ジュイ=アン=ジョザスの街には、たった1つ、生地工場がありました。クリストフ=フィリップ・オベルカンフ氏(Mr. Christophe-Philippe Oberkampf)によって1760年に設立された生地工場。工場長であるオベルカンフ氏は、他の生地工場とは違い、プリントの質、生地の織りの質、そして、コットンやインクの質にまで徹底的にこだわりを見せました。彼はまさに、生地作りにおける全行程にマニアックなまでのこだわりを持った工場長だったのです。

クリストフ=フィリップ・オベルカンフ氏 - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ
クリストフ=フィリップ・オベルカンフ氏

その工場長のこだわりを全て実現した当時の職人の技、そして、そうして完成した生地は、まさに最高品質の生地と呼ばれるようになりました。当時、オベルカンフ氏が生地工場を構えていたジュイ=アン=ジョザスの工場は、パリからベルサイユ宮殿を行き来する貴族の通り道にも位置していました。そして、まさにその道を通った馬車に乗る女性、それがマリー・アントワネットと言われています。工場の外で出来上がったばかりのプリント生地が天日干しされ、その美しさに目が留まり、心を奪われた王妃マリー・アントワネット。王妃自身も、そしてフランス国王ルイ16世も、その後、自らオベルカンフ氏の生地工場へ何度も赴き、生地をオーダーしていたと言われています。1783年には、ルイ16世より「ロイヤルマニュファクチュア」の称号を与えられたオベルカンフ氏の工場は、フランスのみならず、ヨーロッパにその噂は広がり、瞬く間に世界中の誰もが憧れる生地となっていったのでした。革命後も、ナポレオン・ボナパルト自身も工場を訪問し、その栄光を讃え、オベルカンフ氏へレジオン・ドヌール勲章が与えられたのでした。

 1806年にナポレオンによってレジオン・ドヌールを授けられるオベルカンフ - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ
1806年にナポレオンによってレジオン・ドヌールを授けられるオベルカンフ。
© Musée de la Toile de Jouy

そして、オベルカンフ氏の工場が世界的に有名になったもう一つの理由が実は、あったのです。それは、「カマイユ」と呼ばれる技法による単色プリントが世界に衝撃を与えたことに関係します。そして、そこに、「トワル・ド・ジュイ」と呼ばれるようになった、嘘のような本当の理由が隠されているのです。

それまで多くの色を用いてエキゾチックな花や動物で彩られたデザインが人気だった生地から、人々は「カマイユ」と呼ばれる単色でありながら、そこに濃淡・明暗のみで描き、単色とは思えない見事なまでの表情豊かなプリント生地に、人々の流行が移っていきました。多くの生地工場も、この単色刷りの技法を用い、生地を作っていましたが、特に、オベルカンフ氏が作り出すカマイユ技法の生地は、その品質を高く評価され、人々は彼が作り出すカマイユ技法の生地を見て、素晴らしい「カマイユの生地」と言うべきところ、オベルカンフ氏の工場がある街の名前を取って、素晴らしい「ジュイの街の生地=トワル・ド・ジュイ」として呼ぶようになったのです。それ以降、オベルカンフ氏が作る生地は、「トワル・ド・ジュイ」と呼ばれるようになり、現在もその名で呼び続けられているのです。もしその当時、この生地が別の名前で呼ばれていたら、今こうして「トワル・ド・ジュイ」とは呼ばれていないかもしれませんね。

オベルカンフ氏使用の銅板ローラー メゾン・シャール・ブルジェ提供 - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ
オベルカンフ氏使用の銅板ローラー
メゾン・シャール・ブルジェ提供
オベルカンフ氏使用の銅板ローラー メゾン・シャール・ブルジェ提供 - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ
オベルカンフ氏使用の銅板ローラー
メゾン・シャール・ブルジェ提供

さて、オベルカンフ氏の生地工場は、1789年のフランス革命や1814年のフランス皇帝に対する反発などにより、ビジネスは大きく影響を受け、生地工場は、1843年、完全に閉鎖されてしまいました。

メゾン・シャール - トワル・ド・ジュイとは何か? トワル・ド・ジュイに本物と偽物がある? - アトリエ・マリー=ルイーズ 公式通販サイト | フランス インテリアショップ

1860年、オベルカンフ氏の生地工場が閉鎖されてから17年後、フランスの歴史的な生地の複製および編集、そしてそのフランスの生地文化の歴史を後世に繋ぐ使命のため、メゾン・シャール・ブルジェがパリで創業しました。「銅板ローラー」と呼ばれるオベルカンフ氏の生地工場で使用され、マリーアントワネットはじめ、世界中の人々を虜にした、銅板のオリジナルデザイン版を、メゾン・シャール・ブルジェが買い取ることに成功しました。現在、メゾン・シャール・ブルジェは、最も多くのその歴史的銅板ローラーを所有するメゾンであり(現在14本所有)、それを実際に使用することで、200年以上前のマリーアントワネット時代に作られていた「本物のトワル・ド・ジュイ」を作ることができるメゾンとなります。

そして、メゾン・シャール・ブルジェは、この美しいフランスの生地文化の歴史の「共有」の為に、当時のオリジナル生地や銅板ローラーなどを、世界中の美術館、博物館へ寄贈しました。こうして、現在、フランスのジュイ=アン=ジョザスの街にあるトワル・ド・ジュイ博物館、ロンドンの博物館、ニューヨークの美術館などにて、メゾン・シャール・ブルジェの歴史的コレクションが大切に保管・管理されているのです。

1860年より、メゾン・シャール・ブルジェは、彼らが所有するトワル・ド・ジュイを複製および編集ができる商業的権利を所有するメゾンであり、以下が、メゾン・シャール・ブルジェが所有するオベルカンフ氏より受け継いだオリジナルデザイン版から作られた生地の数々となります。現在では、「トワル・ド・ジュイ=ジュイの街の生地」の言葉の語源より、オベルカンフ氏がジュイ=アン=ジョザスの生地工場で作った生地全てを「トワル・ド・ジュイ」と呼ぶようになっています。

上記のデザイン(類似品も含む)のうち、メゾン・シャール・ブルジェによって印刷または販売されていないものを市場で見かけた場合、これらは本物の「トワル・ド・ジュイ」ではありませんので、ご注意ください。

メゾン・シャール・ブルジェは、フランスの生地文化における歴史を守り、伝承し、多くの方々に知っていただく活動を日々行なっています。200年以上も守り続けられている「トワル・ド・ジュイ」の歴史。歴史はひとつであり、その正しい歴史を今後も伝え続ける、それも彼ら、そして我々の大切な使命の1つです。

残念ながら、昨今、多くの「トワル・ド・ジュイ」を謳った生地を目にすることが多くなりました。我々は、それを時代の流れとして黙認することなく、「本物のトワル・ド・ジュイ」とは何かを、多くのみなさまにご理解いただきたいと思っています。その違いは、シャンパンとスパークリングワインのように、明確なのです。

もし皆様が、この本物のトワル・ド・ジュイが「トワル・ド・ジュイ」と名付けられ、その歴史に生きたオベルカンフ氏をはじめとする職人の方々のこだわりや情熱を大切に思ってくださるなら、ぜひこの歴史を多くの方に向けてお話いただけましたら幸いです。

そして、メゾン・シャール・ブルジェのみが作り続ける本物のトワル・ド・ジュイを、より多くの方に知っていただき、その歴史をこの生地を通じて身近に感じ取っていただければと思います。

トワル・ド・ジュイとは何か?それは、ルイ16世時代、ジュイ=アン=ジョザスの街で生地作りに没頭し、人生を賭けた職人オベルカンフ氏が作り上げた、最も美しく、最も多くの人々に愛された生地、それが「トワル・ド・ジュイ」なのではないでしょうか。

日本では、当店「アトリエ・マリー=ルイーズ」がメゾン・シャール・ブルジェの総代理店として、生地の販売はもちろん、本物のトワル・ド・ジュイの普及活動に励んでおります。当社でお取り扱いのあるトワル・ド・ジュイは、全て本物のトワル・ド・ジュイとなります。トワル・ド・ジュイに関してご不明な点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

そして、トワル・ド・ジュイが人々を魅了したルイ16世時代、時を同じくして、トワル・ド・ナントという、こちらも、トワル・ド・ジュイ同様、当時の風景や思想が描かれ、人気を呼んだ生地がありました。ジュイ=アン=ジョザスとナント、この二つの街で生まれた同じようなデザインの生地。一般的には、一括りに「トワル・ド・ジュイ」として呼ばれがちなこれらの生地を、当店では正確に、「トワル・ド・ジュイ」「トワル・ド・ナント」として分けてご紹介しております。「トワル・ド・ジュイ」と「トワル・ド・ナント」、その違いは?そしてその誕生秘話など、フランスの生地文化をまた掘り下げて、皆さまへは別の記事にてその面白く興味深い歴史をご案内させていただきます。ぜひお楽しみに!

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